長期インターンの給料はもらえる?実態と相場を解説
長期インターンで「給料はもらえるの?」と疑問に思っている学生は多いでしょう。結論からいうと、長期インターンでは原則として給料が支払われます。
職場見学や企業理解を主目的とした短期インターンとは性質が異なり、長期インターンは実務を担当する「労働者」として認められる場合が多く、労働基準法に基づいた適切な対価が支払われるのです。
インターンシップにおける学生の労働者性については、一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある。
(労働基準法における労働者性の関連通達 p36)
企業にとっては優秀な学生の早期発掘や囲い込みの目的がある一方、学生にとっては実践的なビジネス経験と収入を得られる貴重な機会となっています。
長期インターンで給料がもらえる理由と仕組み
長期インターンと短期インターンの違い
長期インターンと短期インターンには明確な違いがあります。以下の表で比較してみましょう。
項目 | 長期インターン | 短期インターン |
期間 | 3ヶ月〜1年以上 | 1日〜2週間程度 |
目的 | 実務経験、スキル習得 | 企業理解、業界研究 |
内容 | 実際の業務を担当 | グループワーク、企業説明など |
立場 | 「働く仲間」として扱われる | 「ゲスト」として扱われる |
給料 | あり(基本的に) | なし(基本的に) |
項目 | 長期インターン | 短期インターン |
期間 | 3ヶ月〜1年以上 | 1日〜2週間程度 |
目的 | 実務経験、スキル習得 | 企業理解、業界研究 |
内容 | 実際の業務を担当 | グループワーク、企業説明など |
立場 | 「働く仲間」として扱われる | 「ゲスト」として扱われる |
給料 | あり(基本的に) | なし(基本的に) |
短期インターンは企業説明会の発展形のような位置づけで、学生が企業を知るための機会です。一方、長期インターンは実際の業務に携わり、企業の一員として働くことが期待されています。
実務を担当するからこそ報酬が発生する
長期インターンでは、学生であってもれっきとした「労働力」として企業に貢献します。そのため、労働基準法上の「労働者」と見なされ、適切な賃金が支払われるのです。
具体的には、企業から指示を受けて実務を行い、その成果が企業の利益に直結する場合は、給料の支払いが法的に義務付けられています。
実務内容もマーケティング、営業、エンジニアリング、デザインなど多岐にわたり、社員のサポートから始まり、徐々に独立したプロジェクトを任せられることも少なくありません。

長期インターンだと実務を担当するから給料がもらえるんですね!短期だと体験が中心だから無給が多いんですね。



そうだ!長期インターンでは実際の仕事を任されるからね。僕も学生時代、インターンで営業資料作りから始めて、最後は自分でクライアントと商談するまでになったよ!
長期インターンの給料相場はどれくらい?
時給の相場と実態
長期インターンの給料相場は、時給1,000円〜1,500円程度が一般的です。地域や業界、企業規模によって差がありますが、最低でも各都道府県の最低賃金以上が支払われます。
月の勤務時間を60時間(週3日、1日5時間程度)とすると、月収は6万円〜9万円ほどになります。大学生の平均アルバイト月収が約6万円程度であることを考えると、比較的良い水準と言えるでしょう。
ただし、これはあくまで平均的な相場で、高い専門性を持つ職種や、成果報酬型の給与体系を採用している企業では、月収10万円以上になることも珍しくありません。
職種別の給料相場
職種によって給料相場は異なります。Renewによる調査の結果、一般的な傾向は以下の通りです。
職種 | 時給相場 |
---|---|
すべて | 1,100円〜1,300円 |
営業 | 1,100円〜1,500円 |
企画 | 1,200円〜1,500円 |
編集/ライター | 1,100円〜1,200円 |
マーケティング | 1,200円〜1,500円 |
エンジニア | 1,500円〜3,000円 |
デザイナー | 1,200円〜1,500円 |
特にエンジニア系の職種は、専門スキルの市場価値が高いため、給料も高い傾向にあります。初めてのインターンでスキルに不安がある場合は、研修制度が充実した企業を選ぶと安心です。
企業規模・業界による違い
企業規模や業界によっても給料相場は異なります。
大手企業やベンチャー企業(特に資金調達済み)では、比較的高い給料設定をしていることが多いです。特にIT業界、コンサルティング、金融など、専門性の高い業界では平均以上の給料が期待できます。
一方、NPOや社会的企業、スタートアップ企業(シード期)では、予算の制約から最低賃金に近い設定の場合もあります。ただし、そういった企業では金銭面以外の価値(社会貢献、幅広い経験、経営者との距離の近さなど)が得られることも多いでしょう。



職種によって時給が違うんですね!私はライターに興味があるので、その相場を知れて参考になります!



給料だけで判断するのではなく、そこで何が学べるか、どんな経験ができるかも大事だよ。僕の知り合いは時給は低めでも、社長直下で働いて経営の全てを学んだおかげで、その後のキャリアが大きく開けたケースもあるんだ!
長期インターンの給料体系を理解しよう
時給制が主流の理由
長期インターンでは、時給制が最も一般的な給料体系となっています。その理由は主に以下の3つです。
- 学生のスケジュールに柔軟に対応できる
- 労働時間に応じた公平な対価を支払える
- 労働基準法との整合性が取りやすい
大学の授業やテスト期間などで勤務時間が変動しやすい学生にとって、時給制は実際に働いた時間分だけ給料が発生するため、わかりやすく公平な仕組みと言えます。
企業側も管理がしやすく、法律上のトラブルを避けやすいため、この形態を採用しているケースが多いのです。
日給制・成果報酬制の特徴
時給制以外にも、日給制や成果報酬制を採用している長期インターンもあります。
日給制は、1日単位で給料が決まる仕組みです。例えば「1日8,000円」といった形で設定されます。効率よく働けば時間当たりの実質時給は上がりますが、残業した場合の扱いが不明確になりがちなデメリットもあります。
成果報酬制は、達成した成果に応じて報酬が決まる仕組みです。特に営業職やマーケティング職に多く、「契約1件につき〇〇円」「獲得したリード1件につき〇〇円」といった形で設定されます。高い成果を出せば大きな報酬を得られる可能性がありますが、成果が出なければ報酬も少なくなるリスクがあります。
いずれの場合も、応募前に給料体系の詳細を確認し、自分の働き方やスキルに合っているかを検討することが大切です。
勤務時間の考え方と大学との両立
長期インターンでは、「週〇日、1日〇時間以上」といった最低勤務時間が設定されていることが一般的です。多くの企業では「週2〜3日、1日6〜8時間」程度が求められます。
大学との両立については、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 授業のある平日は夕方以降、休日は終日など柔軟に調整できる企業を選ぶ
- テスト期間や就活期間は勤務時間を減らせるか事前に確認する
- リモートワークの可否を確認する(通学時間の節約になる)
- 長期休暇(夏休み・春休み)を活用して集中的に働くことも検討する
多くのインターン受け入れ企業は学生の本分が「学業」であることを理解しており、比較的柔軟な対応をしてくれます。ただし、企業によってポリシーは異なるため、面接時に必ず確認しておきましょう。
長期インターンの給料以外の待遇
交通費の支給について
長期インターンでは、多くの場合、交通費が別途支給されます。ただし、支給方法や金額は企業によって異なります。
一般的なパターンとしては、以下のようなケースがあります:
- 全額支給:通勤にかかる費用が全て支給される
- 上限あり:「月額〇〇円まで」といった上限が設定されている
- 定期区間外のみ:すでに通学用の定期を持っている場合、その区間外の交通費のみ支給
- 固定額支給:勤務日数にかかわらず固定額が支給される
交通費は給料とは別枠で支給されることが多いため、実質的な収入増につながります。特に通勤距離が長い場合は、交通費の支給条件も重要な検討材料になるでしょう。
福利厚生はあるの?
長期インターンでも、様々な福利厚生が用意されていることがあります。主なものには以下のようなものがあります:
- 書籍購入補助:業務に関連する書籍の購入費を補助
- 研修・セミナー参加:社内外の研修やセミナーへの参加機会
- 社内イベント:社員旅行やレクリエーションへの参加
- フリードリンク・フリーフード:オフィス内の飲食物の無料提供
- リモートワーク環境整備:Wi-Fi代の補助やPC貸与
- 社員割引:自社製品・サービスの割引
これらの福利厚生は直接的な金銭価値には換算されにくいものの、働く環境の快適さや学びの機会として重要な要素です。特に、自己成長を目的としている学生にとっては、研修機会や書籍購入補助などは大きなメリットになります。
昇給の可能性
長期インターンでも、勤務期間や成果に応じて昇給する可能性があります。昇給パターンは主に以下の3つです:
- 勤続期間による昇給:「インターン開始から3ヶ月後に時給〇〇円アップ」など
- 評価に基づく昇給:「半年ごとの評価面談の結果に基づいて昇給」など
- スキル習得による昇給:「特定のスキルを習得したら時給〇〇円アップ」など
昇給制度がある企業では、モチベーション維持や長期的なコミットメントを促す効果があります。面接時に昇給の可能性や条件について質問しておくと、将来的な収入の見通しが立てやすくなるでしょう。



交通費や福利厚生まであるんですね!昇給の可能性もあるなんて、アルバイトより条件が良さそうです。



そうだね!実は多くの企業は、インターン生を将来の採用候補として見ているんだ。だから単なるバイトよりも恵まれた条件を用意していることが多いよ。うまく交渉すれば条件アップの可能性もあるから、自分の価値をしっかりアピールすることも大事だ!
長期インターンとアルバイトの給料の違い
時給の比較
長期インターンとアルバイトの時給を比較すると、一般的に以下のような傾向があります:
項目 | 長期インターン | 一般的なアルバイト |
平均時給 | 1,100円〜1,500円 | 1,000円〜1,200円 |
時給の決まり方 | スキル・経験・職種により差が大きい | 業種・地域による差が中心 |
昇給の仕組み | 成果や習熟度による評価で昇給 | 勤続年数や習熟度で少額ずつ昇給 |
時給以外の報酬 | 成果報酬やボーナスがある場合も | 基本的には時給のみ |
項目 | 長期インターン | 一般的なアルバイト |
平均時給 | 1,100円〜1,500円 | 1,000円〜1,200円 |
時給の決まり方 | スキル・経験・職種により差が大きい | 業種・地域による差が中心 |
昇給の仕組み | 成果や習熟度による評価で昇給 | 勤続年数や習熟度で少額ずつ昇給 |
時給以外の報酬 | 成果報酬やボーナスがある場合も | 基本的には時給のみ |
長期インターンの方が若干時給は高い傾向にありますが、最も大きな違いは「昇給の仕組み」と「時給以外の報酬」です。アルバイトが長期間働いてもわずかな昇給に留まることが多いのに対し、長期インターンでは成果次第で大幅な昇給や特別報酬を得られる可能性があります。
将来のキャリアへの影響
給料以上に重要なのが、将来のキャリアへの影響です。
長期インターンは実務経験として就職活動で高く評価されることが多く、同じ企業への新卒採用につながるケースも少なくありません。特に「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)として長期インターンでの経験をアピールすることで、他の就活生との差別化が図れます。
一方、アルバイトは一般的に「社会人基礎力」の証明にはなるものの、専門的なスキルや業界知識の習得という点では長期インターンに劣る傾向があります。
給料以外に得られるもの
長期インターンとアルバイトでは、お金以外に得られるものも大きく異なります。
長期インターンで得られるもの:
- 実務経験・専門スキル
- ビジネスマナーや社会人としての振る舞い
- 業界・企業についての深い理解
- 社会人との人脈形成
- 就職活動でのアピールポイント
- 自己成長・キャリア観の醸成
アルバイトで得られるもの:
- 基本的な労働習慣
- コミュニケーション能力
- 時間管理能力
- 体力・精神力
- 協調性
長期インターンでは、より専門的・実践的な経験を積むことができ、将来のキャリア形成に直結する学びが得られる点が大きな魅力です。



時給だけでなく、将来のキャリアに繋がる経験が得られるのが長期インターンの大きな価値なんですね!



その通り!僕が学生時代にインターンで経験したマーケティングの実務経験は、その後の就職活動で大きな武器になったよ。時給だけで選ぶより、「この経験が将来どう活きるか」を考えて選ぶことをお勧めするね!
長期インターンの給料トラブルを避けるためのポイント
求人情報の確認事項
長期インターンに応募する前に、以下の項目を必ず確認しましょう:
- 時給・日給の具体的な金額
- 最低勤務時間や日数
- 研修期間中の給料(通常時と異なる場合があります)
- 成果報酬の場合、報酬条件と計算方法
- 交通費の支給有無と条件
- 昇給の可能性と条件
- 支払日(月末締め翌月払いが一般的)
特に注意したいのは、「研修期間中は時給が低く設定されている」「完全成果報酬で基本給がない」といったケースです。これらは必ずしも問題があるわけではありませんが、事前に理解しておかないとトラブルの原因になります。
求人サイトや企業のホームページで確認できない場合は、面接時に質問することをためらわないようにしましょう。
雇用契約書をしっかり読もう
長期インターンでも、基本的には雇用契約書を交わします。この契約書には以下のような内容が記載されています:
- 雇用形態(アルバイト、パートタイム、契約社員など)
- 勤務時間・日数
- 給与額と支払方法
- 休日・休暇
- 勤務地
- 契約期間
- 社会保険の適用有無
雇用契約書は口頭での説明と異なる内容が記載されていることもあるため、必ず内容を確認してから署名するようにしましょう。もし不明点や疑問点があれば、その場で質問して解消しておくことが重要です。
特に給料に関する部分(時給、交通費、成果報酬の条件など)は細かく確認し、後々のトラブルを防ぎましょう。
給料に関する疑問は事前に解消しよう
長期インターンの給料に関して疑問がある場合は、必ず事前に解消しておくことが大切です。具体的には以下のような点を確認しておくと安心です:
- 残業が発生した場合の取り扱い
- 休日出勤の場合の給料計算
- 給料の振込手数料は誰が負担するか
- 源泉徴収の有無
- 確定申告の必要性
- 年末調整の有無
また、「この仕事をすれば時給アップできる」「〇〇の資格を取れば特別手当がつく」など、インターン中に給料アップの可能性がある場合は、その条件も明確にしておくことをおすすめします。
曖昧なままにしておくと後々のトラブルになりかねないため、恥ずかしがらずに質問することが大切です。
長期インターンで適切な給料を得るためのまとめ
長期インターンは、大学生にとって貴重な実務経験を積みながら収入も得られる素晴らしい機会です。適切な給料を得るためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 相場を知る: 職種や業界、地域による給料相場を理解し、適切な条件かどうか判断する
- 明確な条件確認: 勤務条件や給料体系、支払い方法などを事前に明確に確認する
- 将来性を考慮: 単に時給の高さだけでなく、スキルアップや将来のキャリアにつながるかも検討する
- 交渉する勇気: 自分のスキルや経験に自信があれば、条件交渉をすることも検討する
長期インターンでの経験は、お金に換算できない価値もたくさんあります。給料と経験のバランスを考えながら、自分にとって最適なインターン先を選ぶことが大切です。
興味のある業界や職種の長期インターンに積極的に応募して、学生のうちから実践的なビジネス経験を積み、将来のキャリアに活かしていきましょう。



長期インターンの給料について詳しく知ることができました!これから応募する時の参考にします!



素晴らしい!最後に一つアドバイスするとすれば、「自分の成長につながるか」という視点も大事にしてほしい。たとえ時給が少し低くても、将来に活きる経験ができるインターンは価値があるぞ。勇気を持ってチャレンジしてみてくれ!